topic2 ヒューマンファクター の重要性

世界的な医療安全の教科書であるWHO患者安全カリキュラムガイドライン多職種版のtopic2 「患者安全におけるヒューマンファクター の重要性」について簡単にまとめました。

 

ヒューマンファクターズとは?

『しかるべき方法で業務を容易に行えるようにする、あらゆる要因を研究する学問』

『人間と職場で使用される道具や機器との相互関係や人間と労働関係を研究する学問』

WHO患者安全カリキュラムガイドライン多職種版では以上のように記させれています。簡単にいうと・・・

『人間が間違えることを理解し機器や環境を変えることで人間を支援する。』そのための学問でしょうか?まさにこのブログの核心的なところです。笑

 

ヒューマンファクターズの基本

人間の情報処理特性は外界(自分の周りの環境)から情報を見て(知覚)、情報を取捨選択(注意)しています。そして注意を向けた情報が記憶と照合され、情報が理解・解釈(認知)され、行動(運動)に移るとされています。

そしてエラーはプロセスの各段階で発生する可能性があります。

インシデントレポートでよく「確認を怠った」や「不注意」が原因として記載されていて対策が「しっかり確認する」や「間違わないように注意する」ってありますが・・・うーん。

そもそもなぜ確認ができなかったのか、しなかったのか?なぜ注意が向けれなかったのか?この辺りが抜けている事が多いのではないでしょうか?

そして原因が知覚、注意、記憶、認知、運動の5つのどの段階で起きたのか?

知覚:対象が隠れて見えなかった

注意:目の前の患者の危険に気付かない

記憶:やるべきことを忘れた

認知:思い込み

運動:し間違い

ヒューマンエラーはこの人間の情報処理特性の5つの段階と機械や環境とのミスマッチで起きています。機器や環境を変えることでミスマッチを減らしエラーを軽減する必要があります。

改めて言う必要もないと思いますが、これは能力がなくてエラーをしてしまうのではなく人間の脳の特性であってベテランや優秀な人であっても条件が整えばエラーしてします。

 

ヒューマンファクターズを活用

記憶に頼らない

人間の頭の中には大きく2つの入れ物があると言われています。1つがワークングメモリーでもう1つが長期記憶です。ワーキングメモリーは情報の作業スペースでよく机の上に例えられます。また長期記憶は本棚に例えれます。

ワーキングメモリ

・容量に限界がある

・情報が消えやすい

・入力しやすい

長期記憶

・容量の限界がない

・情報が消えない

・入力しにくい

ワーキングメモリーの容量は3〜5つの情報量を持つのが限界だと言われています。

例えば、

ADNOHATOYOTURABUS

を10秒で覚えることはできませんが、同じ文字数でも

HONDA   TOYOTA   SUBARU

ならば覚えることができます。

医療行為は専門的かつ複雑です。また作業の中断もよくあります。記憶に頼らずチェックリストやリマインダーを使用したり、作業が中断しないようなルール作りも必要です。

 

間違いにくい医療機器を選択

医療機器のインタフェースは臨床工学技士にとって、そして医療機器のユーザーである看護師、医師にとって非常に重要です。

シリンジポンプ、輸液ポンプの設定を誤り過剰投与してしまう。このようなインシデントはよく事例として挙げられます。しかし最近のものは最後の一桁の色が変わったり、流量を音声で知らせてくれる機能を搭載しています。これは過去の事例から対策をしたものと推測されます。最後の一桁の色が変わるのは視覚に、音声が流れるのは聴覚に訴えかけています。音声による流量設定のアナウンスは設定者以外にも周りにいるスタッフや患者さんのも聞こえるので異常検出の可能性は上がるものだと考えています。

人工呼吸器では患者さんの状態に合わせて自動的に換気設定を変更するモードであったり、IABPの収縮と拡張のタイミングを自動で調整してくれる医療機器も現れています。自動化ですね。自動化することで学習に必要とする時間が短縮されます。これは賛否両論あるかと思いますが、その他の業務に時間を割くことが可能になる点ではとても有効だと考えます。

自動化にして問題となるのが「医療機器が今どのような状態で作動しているのか分からない」状態になることです。先ほどの人工呼吸器やIABPはグラフィック波形があるためどのような作動をしているか医療者が理解することは可能です。しかし他産業では自動化が進んだ結果、ユーザーが機械がどのような状態にあるのか分からない。またトラブルが発生しても何をどう対処していいのか分からない。といった問題が一部あるようです。

今度進むであろう医療機器の自動化ではこのようなことにならないよう、現在の情報の表示とトラブルの際の対処方法の表示が必要であると考えます。このようなヒューマンファクターを考慮したデザインが必要です。

今回はヒューマンファクターと医療機器について簡単にまとめました。ヒューマンファクターと医療機器の記事は今度、詳しく?解説したいと考えています。

 

参考文献:WHO患者安全カリキュラムガイドライン多職種版 パートB 「トピック1患者安全とは」東京医科大学医療教育学医療安全管理学 http://meded.tokyo-med.ac.jp/who患者安全カリキュラムガイド多職種版について/  (参照2018年8月4日)

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